未経験の転職コラム

2017年2月2日

【連載】あなたの知らない、2030年のシゴト ~「テクノロジー分野」編~

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【連載】あなたの知らない、2030年のシゴト ~「テクノロジー分野」編~

2013年、英オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授が「人工知能の発展に伴い、10年後には人間の仕事がなくなる 」というショッキングな論文を発表しました。2015年には野村総合研究所が同教授と共に「日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能になるという試算」が公開されています。そして2016年3月、Google社の開発した人工知能(以下AI)の囲碁プログラム『アルファ碁』が プロ囲碁棋士の李セドル九段との対局に勝利をしたのは記憶に新しいニュースです。AIが人間に勝利するのはまだ10年以上掛かるといわれていただけに衝撃を受けた人も多かったのではないでしょうか。
一方で日本では『2025年問題』と呼ばれる、日本全人口の4人に1人が後期高齢者という超高齢化&少子化社会へと突入するといわれています。リクルートワークス社の調査結果によると「2025 年に向けては、人材不足と人材余剰が同時発生する。“人が余っているの に、人が足りない”、“仕事があるのに、仕事に就けない”というような事象が、広範囲に、ただし局所的には今までよりも解消が難しい形で発生する」とも言われていています。

そんな中、カナダのCTS inspired minds career2030というサイトで、2030年の仕事として非常に秀逸な視点から仕事事例を公開しているので、数回に分けて紹介したいと思います。

第4次産業革命 とも言われるAI技術の台頭による産業構造の変化と日本が向かえる社会課題の中で、どのような経験を積みどんなスキルを身に付けるべきかというヒントになるかもしれません。

※inspired minds career2030 とは…
教育と専門的なキャリアパスの視点からカナダの未来ビジョンを示したものです。 カナダの奨学金信託財団によって運営されている、カナダの子供のための高等教育を支援するための奨学金制度の専任販売代理パートナーのCTSが運営しています。

テクノロジー分野/Technology

オーガニック発電エンジニア/Organic Voltanics Engineer

オーガニック発電エンジニアは、自然の力と毒性の無い資源を利用し、健康被害のない再生可能な方法で効率的にエネルギーを作り出すようになる。潜在的なオーガニックエネルギー源として考えられているのは、太陽光と風力、生物発光、重力、潮力、水素燃料電池、微生物燃料電池と細菌電池、バイオ燃料、下水、体熱などがある。
オーガニック発電エンジニアは、人々が毎日使うエネルギー消費に対し省エネソリューションを提案するようになる。例えば水銀等の有害成分を排除しつつも、電気を節約する電球を設計するなど。

ビッグデータラングラー(操縦者)/Big Data Wrangler

ビッグデータラングラーはIT技術を駆使し、膨大なデータを管理しマーケティング担当者が使えるようにデータを整えることが仕事である。そうすることによって購買予測アナリストは入手できる顧客情報に一層の深みを増し、潜在顧客をプロファイリングすることができるようになる。従って、よりパーソナライズされたデータを元にその顧客の嗜好とニーズに合わせたサービス対応や製品を作れるようになる。
また、マーケティングマネージャーが実施するマーケティングキャンペーンのフィードバックデータを収集、管理する。そしてそのキャンペーンの有効性を分析し、新しいアプローチをテストし継続的な調整を行うことでより良い結果を導き出す手助けをするようになる。

マルチ・マーケティング担当者/Multi-Marketer

マルチ・マーケティング担当者は顧客プロファイル内にて特定のニーズを満たすプロモーションキャンペーンを開発する。既にヒットしている製品やサービスではなく、自分のニーズを満たすまでネットサーフィンをし続けているニッチ顧客に対してのマーケティングを担当する。購買予測アナリストが作成したニッチ顧客のプロファイルを元にライフスタイルコンセプトを開発しニッチ顧客へ伝えていく。
また、マーケティング担当者と協力し、例えば、有名人やライフスタイルブロガーなどの影響力のある人との関係を構築し、ビデオを含めたクリエイティブプロモーションを活用しながらキャンペーンメディアを構築していく。マルチ・マーケティング担当者からマネージャーになると、様々な製品やサービスがどのように集まっているかという全体像を捉えながら、顧客のニーズを個人レベルで満たせるようになる必要がある。

システム・タンジライザー/Systems Tangilizer

システム・タンジライザーは、複雑なシステムや高速に動くシステム動作を理解しやすくすることが仕事となる。システム内の要素を識別し、色、音、振動を使用して複雑なシステム内の対話や事象を「タンジブル」にすることである。
システム・タンジライザーが作成するマルチ感覚モデリングツールは、システムをリアルタイムに観察するだけでなく、理解を深めたり、結果を予測したり、問題を解決したりする際に役立つようになる。
例えば、研究者や医療従事者が健康や病気の働きを理解しやすくなる。また、子供が幼いころから複雑なシステムをどのように認識して解決するかを学ぶためのツールとなったりもする。

※タンジブル(tangible)とは実体があるさま。実際に触れることができるさま。手触り感があるさま。「情報をよりタンジブルなものに作り替える」(引用元:コトバンク> デジタル大辞泉)

消防士/Firefighter

2030年には、消防士はこれまで通りの役割を果たしつつ、新技術を使用し危険性の検知とより迅速な消火活動が可能となるだろう。消防士としての責任は新たに火災予防教育が含まれ、地域社会との繋がりが深くしていく。
また新しい建物や製品が開発される際には、企業や公共機関に対して専門知識を提供するコンサルティング業務も行っている可能性がある。

オンラインコミュニティマネージャー/Online Community Manager

ジャーナリストと読み手の境界が曖昧になりつつあるWEB上では、ユーザーによるコメント投稿が付加価値をつくると大手メディアは理解を始めている。ユーザーがライターであり、ライターがユーザーとなる将来、ユーザーのコメント投稿を活性化させ、優れたコメントをキュレーションする担当者はメディアにとっての大きな資産となる。
オンラインコミュニティマネージャーはユーザーとメディアを繋ぐ役割を果たし、そのコミュニティを健全に保ち、向かうべき方向性を決定する。例えば有名人とユーザー主導のインタビューをコンテンツとするメディアコンテンツを作り出したりもする。このコミュニティマネージャーは広報とコミュニケーションのスキルを持つ必要もあるだろう。

プリントショップマネージャー/Print Shop Manager

オンライン上のアバターが着る服や所有する家具やモノが、現実の世界でも利用できるようになることが望まれていくことになる。例えば、個人的な思い入れのあるオンライン上のアイテムをリアルの世界で利用し、また現実世界のアイテムをバーチャルの世界へ持ち込んだりするようになる。
2030年にはプリントショップは、洋服ダンス内の洋服をスキャン・デジタル化し、オンラインアバターが実際に自分の着ている服を身につけ、逆にアバターが身に付けていた服を実際の服として印刷するようになる。プリントショップマネージャーの仕事は、仮想オブジェクトをリアルなものにし、現実のオブジェクトを仮想バージョンにするプロセスを管理することだ。

スマートキューブ技術者/Smart Cube Technician

技術イノベーションにより輸送においては荷主、運送業者や受取人が追跡できるスマート輸送コンテナ(スマートキューブ)などのトラッキングシステムを通じた郵便及び宅配サービスが始まっている。自動化されたシステムは非常に効率的ではあるが、何百万ものコンテナを輸送処理するときに何かしらの問題が発生することになるだろう。
スマートキューブ技術者はトラッキングシステムが正常に動作しているかを監視し、紛失や取り残された荷物についてのトラブルシューティングを行う。技術者として求められる要件は、輸送と物流に関する実践的とトレーニングを積んでいることに加え、卓越した問題解決能力を持っている必要があるだろう。

メディアリミキサー/Media Remixer

現代には幅広い音楽の知見からユーザーにホットな音楽を届けるDJ、ミュージックビデを届けるVJがいるが、2030年には様々なメディアをミックスして独創的な製品や体験を生み出すメディアリミキサーの作業場が必要となるだろう。
メディアリミキサーが作る製品やメディアは、マーケティングキャンペーン、教育ツール、結婚式のモンタージュや、ユニークな体験を提供するインスタレーションアートやアドベンチャーダイニング等に活用されることになる。
メディアリミキサーは多くの場合フリーランスとしてクライアントの要望に対しカスタマイズされたコンテンツを開発している。よって一度に多くの組織と一緒にプロジェクトを同時進行している可能性が高く、敏腕家でなければいけない。そのためには自分のリミックススタイルの差別化しパブリックイメージとデジタルプレゼンスを形成し自己ブランドを構築していく必要がある。

技術分野においては2030年の仕事がかなり広範囲にわたり紹介されていました。将来について語るうえではすべての分野において技術革新が関わってくるため限定的な技術進化ではなく、どの分野にどのように影響するのかというヒントになったかと思います。
日本では2030年までに名目GDP600兆に向けた成長戦略が政府から発表されていますが、1番目にくるのが『第4次産業革命の実現~IoT・ビックデータ・AI・ロボット』であり、技術革新を中心として成長戦略です。
必ずしも技術に詳しくなる必要はありませんが方向性だけでもしっかりと見ていくことは将来の自分のキャリアを考える上でのヒントになることかと思います。

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